麻布十番

私は麻布十番にある『サウナイブ』の午後6時を選んだ。酵素ドリンク式エステが、他のエステサロンともっとも違う点は、どこにも仕切りがないことである。ロッカールームからサウナ、垢スリルームまでがすべて見渡せるうえに、全員、紙パンツすらつけないスッポンポン状態。五段腹も、垂れたお尻も、スキ間のない太股も、全部見せなければならないのである。さすがに小学生の身体検査のようにジロジロ見る人はいないのだが、私のほうは、ぜい肉が少しもないOLたちのウエストや二の腕にくぎ付けになる。こんなに痩せている人が、こんなにいる。そこには、体重49キロ、ウエスト58センチの世界が間違いなく存在していた。自分がどれだけ太っているかは、垢スリをやってくれる酵素ドリンク人女性のコトバでもわかる。酵素ドリンク語なので、ハツキリしたことはわからないが、隣の女性と大笑いしているから、デ」のマグロ女」ぐらいはいつているのだと思う。私はやっばり並みはずれた大デブなのだ。酵素ドリンク式エステに行くと、私は自分に厳しくなれる。芸能人のヒミツテレビに出ると、太って見える。このことは、いまや、テレビ業界の人でなくても御承知のジョーシキであろう。レビでポッチャリ見える人も、実際にお会いするとすご?く痩せているのだ。たとえば、女優の、かたせ梨乃さん。テレビでは、お顔もポッチャリ気味だし、ガッシリした体格に見える。″極妻″の着物姿も、どこか頼もしいカンジがするし、―カドーのコマーシャルに出られるときなどは、オバサン体型のようにも見える。だからテ大柄だしイトーョしかし、いつだったか、どこかのデパートで(イトーョーカドーではなかったと思う)お見かけしたら、実際は、顔も小さく華奢な方だったのに驚いた。ずいぶん前の話になるが、麻布十番で、マンザイの今いくよ・くるよさんに焼肉をご馳走になったとき、くるよさんが全然太っていなかったことにも仰天した。あれは一般社会では、中肉中背という。くるよさんは、当時流行っていたセーラーズの半袖の襟付きトレーナーに、キュロットスカートをお召しになっていたのだが、隣で似たような格好をしていた私のほうがゼッタイに太っていたと思う。


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